陝西省西安市・鴻門宴景区
三国志は読破したんですが、前漢の事にあまり興味を持たず「項羽と劉邦」も読んだことがありません。ですがこの時代に凝っている友人の希望に付き合ってちょっと行ってみる事にしました。

場所は西安近郊です。かの兵馬俑を観光した後、華清宮に移動するついでにタクシーに交渉して回り道をしました。この時は兵馬俑で日本語ガイドと一緒に回ったので彼女のツテで安心な車を呼んでもらいました。友人にお任せなので具体的な料金は覚えていません。
前述の通り前漢の話を読んでいないので適当ですが、なんか劉邦がイキってるようにみえたので項羽がキレて、劉邦をやっちまおうという魂胆でセッティングしたのが「鴻門の宴」というパーティーだそうです。
砂ぼこりが浮いて白っぽい道路をひた走ります。兵馬俑のある辺りはもう大概な田舎と言えます。ロードサイドに現れる長屋には自動車整備工場や倉庫や煤けた食堂が並んでいます。水盆羊肉という西北地方独特の汁物があります。中国人の知人が言うには中国で一番不味いものだそうで試したくてウズウズしますが今回はスルーです。近頃、羊雑湯という羊の内蔵など煮込んだ汁物を飲みましたが、羊臭さが許容範囲ギリギリのラインでした。体調不良の時にあれを口にすると大惨事でしょう。水盆羊肉は羊雑湯の上位互換と考えると色々と手強い気がします。そうこうしているうちに本道をそれて細道を突き当たるとそこが鴻門宴景区でした。
中国の観光地というのは人人人のイメージですが、大都市圏もしくは有名観光地でなければそのような事はありませんし、身動きも取れないような大行列は大型連休+有名観光地のコンボでないと起こりえません。

ですから平時の辺鄙な観光スポットは閑古鳥が鳴いています。訪れる人もまばらな入場門で手持ち無沙汰にしている係員を見ると、なにか切なさを感じてなりません。正面の城門にいるのは人間ではありませんが。ちなみに入場門は右に見切れている所で、あの門は未開放でした。
内部も記念碑や記念館の類で、歴史的価値があるようには見えません。その場所がここだったという史実のみです。そして当時のオールスター銅像が並んでいます。紀元前206年12月の事だそうですがその当時の日本はまだ土偶か埴輪を焼いてたかと思うと、やはり黄河文明の歴史文化は偉大と感じます。

銅像の後ろの小高い部分に記念碑が建っていますが、その宴の場所なのかただのモニュメントなのか、まあ私にこだわりはありませんのでどっちでもいいです。

ググってみると…鴻門の宴は劉邦に謀反の疑いを掛けて誅殺するのが目的でした。でもやたら劉邦が頭を下げるもんだから王者の余裕からか殺す気が失せたようです。ただ項羽の軍師であった范曹という人物は劉邦の危険度を見抜いており、項荘という武将を呼び「剣舞」の余興を装って斬らせようとします。ここで項羽の叔父である項伯(劉邦の軍師張良と旧知、今回の取り成し役を務めた)が企みに気づき、舞いの相手を請負って斬らせぬように牽制します。その緊迫した有名な場面をご覧下さい。

見よ!この
パイレーツ・オブ・
カリビアン感


ここで首の皮一枚つながった劉邦はそのうち項羽を垓下の戦いにて打ち破り皇帝となるのですが、軍師だった張良は恩賞を欲張らず、その後も慎ましい生活を望みついには不老不死の仙人を目指したりなんかしたという伝承があります。その張良が籠もった場所こそ、湖南省有数の観光地、映画『アバター』の舞台設定モデルと言われている張家界国家森林公園です。地名がまさに張さんの家の境界なんですね。あくまで伝承なのですが、お墓もここだとされています。
鴻門宴景区
公共交通機関でチャレンジする人は西安市中心から臨潼区・兵馬俑方面に行く郊外バスで臨潼バスターミナルへ、そこから路線バスの臨潼線のいくつかが「鴻門宴」停留所に寄るが難易度高し。兵馬俑または華清宮という大型の観光スポットでタクシーを拾いアクセスする方が良い。
旅行時期:2017年秋